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MBSハッカソンに、チーム名”宇都宮地(読み:ウツノミヤジ)”として参加してきました。
総人数百余名、30チームを超える関西最大規模のハッカソンにて、アイデアソンを勝ち残り8組のチームで行われた決勝で、企業賞こそいただいたものの残念ながら優秀賞まで届かず。
しかし得るものは多くその興奮さめやらぬまま、いろいろと感じたこと学んだことを書きとめておこうと思います。

我々チームが作ったのは、こちら。発表用にPVも制作したので、見てちょうだい。

わりと自信はあった…。反面、終始つきまとう、どこかちぐはぐな事してる感。
我々はいかにして参加して、そして敗れたのか、いろいろと覚えていることを書いていこうと思います。
優勝した後のお酒は、どんな味がするんだろうなあ!??

チーム構成について

MBSハッカソンでは、チームの構成がプランナー、エンジニア、デザイナーの最低3名から必要ということで、最初は参加をあきらめていました。
我々は、二人しかいないからです。
そこへ、昔からの友人である宮地君から参加のお誘いがあり、みごとチーム名”宇都宮地”として参加応募することが可能となりました。
宮地君は、以前シャープのハッカソンでもオーディエンス賞を獲得した実力の持ち主です。
ちなみに、この記事での一人称の表記は、チーム全体を”我々チーム”、宇都宮ウエブ制作所を”我々”、私個人を”私”と使い分けています。

MBSハッカソン、イベント全体について

ハッカソンとは、ご存じのとおりハックとマラソンを掛け合わせたイベントの名称です。
今までなかなか競技化しにくかったハッキング技術を、審査員による審査というルールを設けることにより、その腕をふるうことが出来る、大変おもしろいイベントです。
ハッキングとは、一言でいうと”技術へのリスペクト”だと私は思っています。
実際には狭義のハッキングにとどまらず、物作り全般における技術の高さを競いますので、最終的には物作りへのリスペクトが最大限に成された奴が勝ち、というのがみどころになるのではないでしょうか。
参加の楽しみ方は、マラソンと同じように、順位や勝ち負けにこだわるもよし、あこがれの人達や凄腕ハッカーと同じ空気のなかで競い合って完走を目指すもよし、人それぞれですが、我々はまかりなりにもプロとしてお金をいただいて制作する商売をしている以上、出るからには優勝を目指して参加しました。

最近は、ただ単にモノを作るだけでなく、”作ったモノが本当に収益になるのか”といったようなところまでルールとして設定してあるハッカソンがあったりして、私は個人的にこれが苦手なのですが(別にお金の話しが苦手、とか幼稚なことは言いませんが、金になるかどうかわからない技術を発掘して育てるのが面白いのに、せっかくのイベントで最初から金になりそうなもの考えて作ってそれ面白いの?と思います。いや、面白い面白くないと思うだけの話しですよ。例えば円周率なんか計算して何が面白いの?って思う人多いじゃないですか。私は大好きですが。面白くないと思う人にとってはわからない、あれと一緒です)、今回はテレビ局主催ということで 「実際にテレビ番組を作る」 という制約のもと、MBSからもディレクターがチームに加わり協同で成果物を作りあげるという、かなり実践的な競技となりました。
あとにも詳しく書きますが、私はこれが非常に燃えました。

イベント全体としましては、さすが関西最大規模のハッカソンイベントとなっただけあって、圧巻のひとこと。
MBS全社を挙げてのイベントという感じがびんびんと伝わってきて、MBSが誇る新社屋のふたつのスタジオをぶちぬいてのイベント開催。
ちちんぷいぷいのスタジオを二日間借り切っての作業、知っとこのスタジオでの発表、昼はスタッフ弁当、夜は出演者弁当支給、セットの見学自由(普通近づいたら怒鳴られそうなレベルのところまで案内してくださる!)などなど、我が人生でのハイライト多し。
みなさんから、ものすごく親切で丁寧な扱いをしていただいて、とてもありがとうございました。

何を作るか

昔から言われていたことですが、"放送とインターネットの融合”このキーワードは実現にむけて非常に難しいのです。
NHKやTBSも先行して放送と融合させる何かモノを作るハッカソンを開催するなどしていますが、満を持して”実際にテレビ番組を作る”ハッカソンをMBSは開催することで、この不可能に挑戦しようとしました。
今この場で歴史が動こうとしている、少なくとも動こうとしている入り口に立っていると言っても過言ではない事を、肌で感じました。
そして、我々チームは予選を勝ち抜いてこの場にいられることを、とても幸運に思いました。
非常にいい経験をさせてもらいました。

放送とインターネットというと、まず双方向性の実現を考えますが、私は「テレビ番組を見ているときに、何か特別な作業を強いるような番組は見たくない」という、怠惰きわまった人間なので、企画の段階で双方向性は真っ先に斬り捨ててしまいました。
この判断のおかげで、企画のちぐはぐさに終始悩まされることになったのですが、放送はできるだけ同じように受け手に伝わることが個人的信条として持っていますので(伝わった受け手がどう感じるかは人それぞれだということは言うまでもありませんが、感じる直前まではせめて全く同じものが全ての人に行き渡るように最大限努力すべき、という考え)、判断は間違いではなかったとは思っています。

そして、50年以上も常に”面白いとは何か”を考え、作り、見せてきた、MBSのテレビマンの猛者たちを前に、「ぼくがかんがえたさいきょうにおもしろいてれびばんぐみ」を発表しないといけないという、下手したら罰ゲームに近い状況のなかで、いったい何を作れば優勝できるのか、ものすごく苦しみました。
果たしてこれが本当に面白いのか、人に見せるに値するアイデアか、途中何度もわからなくなって立ち止まってしまいましたが、自分達がアイデアソンから勝ち残って選ばれたチームであることという自負と、協力してくれたMBSの山崎さんに励まされ、なんとか優勝するつもりでいる発表までこぎつけることができました。

技術もアイデアも人材も闘志もみなぎるMBSを前にして、「50年以上も作り続けてきたテレビ番組の未来を、インターネットは変えることができるのか」、我々はそれの未来を見せることが出来たのでしょうか?
全力で挑戦はしましたが、そこは、今でも悔いが残ります。

人狼

我々チームは、人狼ゲームというテーブルトークゲームをモチーフにした、ゲーム要素によって脱落があり得るカップル同士の共同生活、という番組を企画しました。

ご存じのかたも多いと思いますが、人狼というゲームは司会者とカードさえあれば出来るゲームなので、双方向性という性質を斬り捨てた我々にとって、特にITの入り込む余地が無いんです。
また、シンプルながらも緻密に計算されたゲームバランスを誇っていますので、無理にITを入れるためにルールをいじると、少しでもほころびがあればゲームとして成立しなくなります。
なんとかITとゲームを入れる事が出来たとしたら、今度はテレビ番組として面白くなくなる、テレビ番組としてもやっと成立させたら今度はIT導入の必然性が無くなる、またIT導入と緻密なルールの計算からやりなおし、の繰り返しでした。

IT成果物について

今回、審査員も非常に魅力的でして、特に田中さんと川田さんに自分の作ったものを直接お見せできる絶好の機会というのが、モチベーションとして一番高かったです。

さてさて、ではお二方にどんなものを見てもらいたいのだろう、と考えたとき、AIRでアプリを作ってAPIと連携して凄いですよね、だけではつまらないな、と思って、というか自分がそのパターン飽きたな、ていうのがあったので今回はフィジカルコンピューティングというやつに今さらながら挑戦しました。

Android側で音声透かしを解析して、Arduinoに信号を渡して、血ぶくろを物理的に破裂、グワー!と叫ぶ。バタンと倒れる。

仕掛けとしては単純なものなのですが、自分で言うのもなんですが一個一個の組み合わせと連携が面白く、特に各方面の技術者からはたいへん好評をいただきました。
デバイス制作の初学者としても、ただ単にモーターを回すだけでも解決すべき点が多く、基礎をそれなりに学べていい経験になりました。

ただ、「こんなものをお前はテレビマン達に向けてテレビの未来ですと紹介したのか?」と問われれば、もごっちゃいますがその点は次の章以降で触れていきたいと思います。

「そんなもの、ウチだけで作れます」

MBSハッカソンでは、MBSが誇る敏腕ディレクターを1チームに一人ずつ派遣して、実際にテレビ番組を作る共同作業を行うというのが特徴だったのですが、私はこれが楽しみで楽しみで、実際に一緒にやってて楽しくて楽しくて、いい思い出になりました。

前述の通り、我々チームのIT成果物は血ぶくろだけなのですが、これだけであればわざわざハッカソンを開催しなくても作れます。
この仕掛けのミソは、Androidが何を検知して自動的に血ぶくろを破壊するのか、によるのですが、人狼ゲームとしての面白さと、テレビとしての面白さと、IT導入の必然性を考えたとき、必ずどこかにほころびが出てしまい、そのたびに企画から作り直しとなりました。
我々チームには報道の山崎さんという方がディレクターとしてついてくれたのですが、この企画し直しの作業にひとつひとつ丁寧に付き合ってくださいました。

前のほうにも書きましたが、我々チームの企画が本当に面白いのかわからなくなって立ち止まったとき、「企画は本当に面白いと思います」という励ましの言葉を何度もいただき、何度も立ちはだかる壁を乗り越えることが出来ました。

そして番組内ゲームのルールを変更するたびに、撮影現場での登場人物の動きを何度でも丁寧にシミュレートして、番組としての面白さ、IT導入の必然性に少しでも穴があるとそこを指摘していただくことで、最終的に我々チームは自信を持って発表に望めました。
半端なものを作るくらいなら、最初から何度でも作り直しを厭わない、MBSの精神に少しでも触れることが出来たのは、いい勉強になりました。

以下、私が好きだった山崎さん語録

  • (ゲームのルールが破綻していたので、出演者を仕込むことで解決しようとする姿勢に対して)「最初から仕込めば、それでもいけるでしょうが、そんなの絶対イヤですよね?」
  • 「そんなもの、ウチだけで作れます」
  • 「ただ発表するだけならこれでいいのですが、優勝したいのですよね」

あ、そうそう、言い忘れていましたが、我々チームは夫婦と友達で結成された、記念参加の市民ランナーと思われてた方はいないとは思いますが、念のため、我々チームは優勝を目指して頑張っていたチームなのです。
ほんと一応念のため。

ビデオリサーチ社賞をいただきました!

人狼が発する音をトリガーとする技術に、ビデオリサーチ社様が提供していただいた音声透かし認識SDKを使用していたことで、ビデオリサーチ社賞をいただきました。
音声透かしとは、音声の波形の中に、ハッシュを含んだバイト文字列を含ませるステガノグラフィの一種です。本来であればネットなどが無くてもテレビの音声さえ届くのであればそれを通じて、あらかじめ起動されていた視聴者側のアプリに何らかの操作が行えるような、そんな使い方を想定されていたSDKなのですが、これをどうにかして番組制作にも使ってもらえないか、というビデオリサーチ社様の考えと一致していて気に入って頂けたみたいで、大変光栄な賞をありがとうございます。
SDKの使い方について何から何までお世話になった上に賞までいただいて、とてもうれしいです。

1〜3メートルくらいの距離の判定を行いたいと思ったとき、無線やGPSでは誤差がそれ以上出てしまうので難しいのですが、音はまさにそれがうってつけで、iBeaconなどでちょうどその手の距離の判定に頭を悩ませていたときだったのもあって、音声透かしの技術は大変興味深く使用させてもらいました。

ビデオリサーチ社といいますと視聴率の測定で有名ですが、その業務の性質上、特定の企業とあまり交流することができないので、我々みたいな個人事業者がビデオリサーチ社の技術者の方々とお話しできる機会があることも、とても新鮮でした。
こういうことがあるのも、テレビ局主催のハッカソンの醍醐味だと思いました。

結果は

冒頭に結果は書きましたが、もう一度。
ビデオリサーチ社様より企業賞はいただいたものの、結果は最優秀賞1チーム、優秀賞2チーム、審査員特別賞1チームのいずれにも及ばず、敗れました。
優勝を目指して作ったものなので、それが全く箸にも棒にもかからなかった結果については、もちろん悔しいです。
ただ、それ以上に得るものが大きかったのは、負け惜しみでは決してなく、結果が出た後も気持ちは充実しています。

入賞した4チームの出来はどれも素晴らしいものでした。特にチーム共犯者のは、私も凄く好きです!

アイデアソンの段階から、凄腕ギークやトップクリエイター達のオーラに呑まれて緊張しまくりでしたが、ハッカソン2日間をテレビスタジオという特別な空間でみんな一緒に戦ってくると仲間意識が生まれやすく、さいごのほうはみなさんずっと親しかった仲間のような気がしてきました。  
みなさんは私に対してそうは思ってないかもしれないですが、少なくとも自分はそう思ってます。

以前にも書いたことがあるのですが、私はビジネスの世界の、名刺交換だけの交流がとても苦手でして、それに対してこのハッカソンというイベントはお互いがベストを尽くして競い合うことで、そのひととなりが最大限にわかるという点においてとても好きです。
アイデアソンの段階では、自分達も緊張しまくってて満足に誰とも話が出来ませんでしたが、後日声をかけてくださった方もいたりして、うれしかったです。
ハッカソンで一緒だった7チームの皆さん方どうもありがとうございました。「ワオーンワオーン」再生させまくってうるさくてすいませんでした。
ついでに全員キーマカレー食ってどうもすいません。

イベントの終始をサポートしてくださったAPI企業の皆様と、マッシュアップアワードの方々、本当に感謝です。マッシュアップアワード、いつも参加したいと思いながら、スケジュール調整とにらめっこしています。

大阪イノベーションハブは、技術を持った人同士をくっつけるという、そういう単純でいて難しく、骨の折れる仕事をしてくださっていて、私は素晴らしいと思っています。
角さんというイノベーションハブの誇る有名人が、この難しく泥臭いところを忙しくも丁寧に繋げてくれるからこそ、大阪の巨大企業が我々のような1個人の人材に目を向けてくれる機会を得られます。
門戸は我々が開けてやったから、あとは自分の手で実力を見せて優勝はつかみ取れ、という姿勢も含めて、全てが好きです。

審査員の方々もありがとうございました。
この技術とこの技術をこんな感じでくっつけたら、こんなものが作れた、こんなテレビ番組が出来た、というのを皆さんに見せるのをとても楽しみにしていました。

最後になりましたが、主催のMBS様には、みなさまとても親切にしてくださりありがとうございました。
お返しとして、期待されるほどの未来を我々はお見せできたのか、悔いは残りますが、テレビの歴史を動かしていこうというMBSが起こすムーヴメントに、ハッカソン参加者として関われたことだけでも我々も誇りに思います。  
とにかく学ぶことと得るものが大きかった一週間、これをきっかけに我々もまた力をつけて、1年後2年後にテレビの未来が変わる何かを作り上げることで恩返しさせていただければと思います。

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