釣りタイトル「HTML5 v.s. Flash」ついて。

僕はウエブサイト制作請け負いを生業としていまして、毎日いろんなウエブサイトを、大阪の隅っこの方で家内とたった二人でこしらえています。

一度でもお会いした方には、求められれば今まで制作した実績を、秘密保持の契約に問題ない範囲でお知らせしていますのでご存じの方も多いですが、ウエブサイト制作という目的に沿うためのありとあらゆる技術を駆使して業務に携わっており、その中でもとりわけFlashが大好きな、いわゆる業界の一部のみで使われるスラングであるところのFlasherという肩書きを好んで自称しております。

ここ数年でよく目にするようになった「HTML5 v.s. Flash」という言葉。
別に個人の話しレベルでは何も思うことはなかったのですが、特にここ最近は大手技術系ニュースブログでもたぶんアクセス数欲しさからやってることなのだとは思いますが釣りタイトルで使われるようになり、ちょっと個人的に看過できないのではないかと考えるようになってきました。

ニュースブログのやってることは、記事という名の広告掲載場所を作るためのいわゆる看板板の作成のお仕事なので、釣りタイトルで人目を引くことに関しては何も異論はありません。
何ズモードとか何デア何デアとか、けっこうかなりな大手ニュースブログで勝手に「もうFlashはいらない?」と煽られたFlashを、こよなく愛するいちユーザーが感じた、ちょっとした違和感を書きたいと思います。

大前提としてFlashとHTML5は対立関係に無い。排他的関係はもっと無い。

「もうFlashはいらない?」

これわざとなんですかねえ。わざとなんですよねえ。何イデアアイデアさんとか何ズモードジャパンさんとか大手でもやってますが。

もしわざとでないんであれば、後述するようにもうニュースサイトの記事書くのやめたほうがいいですし、わざとなんであれば、アクセス数をすこしでも稼ぎたいお気持ちはすごくよくわかります。

もしかしたらFlashを触ったこともないような人とか、HTMLに全く理解の無い人からはあたかも対立関係があるように見えるのかもしれませんが、僕程度の半可通からみても対立するような技術ではないことはよくわかります。
少なくとも僕の知ってるHTML5を研究してる人やFlashの凄い人や、誰に聞いても「むしろどこがどう対立するのかこっちが知りたい」という意見しか聞こえてこないです。
何故「HTML5 v.s. Flash」という図式が外野で作られたのか。
それには三つの本当とたった一つの勘違いがあるからだと僕は考えています。

[本当.1]AppleとAdobeは対立しているように見える。

これは本当だと思います。
MacのOSアップデートLionのときにAdobeのアプリがことごとく動かなかった事から見ても、相当根が深いのかなと心配しています。

[本当.2]AppleはiOSにFlashを搭載する予定はないし、その代わり「HTML5が動くよ」と言う。

これも本当です。
iOSではFlashのリッチな体験が出来ない問題に対してHTML5がその役割を代替することをアップルは期待しています。

[本当.3]AdobeはiOSにFlashPlayerが走らないと困る。

本当そうですよね。
ただ、これが次の勘違いを生むことになります。

[勘違い.1]AdobeはHTML5が普及すると困る。

完全に勘違いです。
Adobeが困るのはFlashPlayerが走らない環境が少なくなるのが困るのであって、つまりiOSでFlashPlayerが走らないことについては非常に困っています。
2番目の本当でAppleがiOSのFlashの代替にHTML5を提示したこともあって、FlashとHTML5を同等に並べられて勘違いされやすいですが、iOSでFlashが動かないのはAdobeにとって大問題ですが、HTML5の普及とAdobeは何の関係もないんです。
むしろ、クリエイターに制作ツールを売って生計を立てているAdobeにとって、クリエイターに支持されるHTML5のツールを作ることは至上命題なのです。
ちょっとややこしいですが、

  1. iOS => HTML5好き Flash無理
  2. Adobe => Flashが動かないのは嫌!iOSでも動かして!
  3. Apple => 嫌。Flashの代わりにHTML5動くし。

というなりゆきと

  • Adobe => クリエイターが使うツールを作って売ってる会社

とはわけて考える必要があります。
Adobeの顧客であるクリエイター、そのクリエイターの最近の出力先として無視できないのがWEB。
WEBの出力先として無視できないのがiOS。
iOSのWEBでFlashが動かない事は、Adobeのプラットフォーム戦略としては問題です。
が、AdobeがHTML5のツールを出すことについてAdobeにとって特に何も問題になることはありません。

ということでAdobeがiOSでFlashPlayerが動かないのは困りものです。

でもそれ以外が全然的外れな感じがしないですか?
問題がややこしいから普通に会話で「HTML5 v.s. Flash」とか言っちゃうのはわかるんだけれど、少なくとも大手といわれる技術系記事を書いて広告掲載場所を少しでも多く稼いでる看板板屋としては、素で勘違いしていたのであれば技術系の話題を書く素質無しだし、わざとやってたのだとしたらそうとうにあざといとは思います。
わざとだとすれば、僕は大手のブログの記者に、アクセス数欲しさに「Flashはもう必要なし?」とまで煽られたので、少しは文句も言っていいでしょうか?

大手の知名度の割にはアクセス数が厳しいのか多少でも過激なタイトルをつけないといけない事情はわかります。
「もうFlashはいらない?????Adobeが作ったHTML5でFlash終了pgr」
と煽って記事を書かないといけない心中はお察ししますが、僕がいちばん腑に落ちないのは
いったいぜんたい何を持ってして、HTML5の表現力を引き出すツールができたからといってFlashがいらないと判断したかです。
少なくともFlashを煽れば、記事にアクセスがつくと思ったのでしょうか?

「もうFlashはいらない??」

もうFlashはいらないんでしょうか?

ナニを持ってしてそう感じたかは、僕が聞きたいくらいでが、ナニアイデアだったかナニギズモードだったかの記事では、彼らは「もうFlashはいらない」と感じたようです。

しかしながら僕はそう考えていません。
今までFlashにしか出来なかった表現が(CSS3と組み合わせることで)HTML5でも出来るようになった。
素晴らしいことです。
Flashで培った表現が、より多くの人に見てもらえるプラットフォームが広がったのです。
HTMLでできたサイトが動くようになったのです。

ねんがんの、動くサイトがやっと陽の目を浴びることになったのです。
動くサイトは魅力的です。
ユーザーにとって凄くわかりやすいです。
「WEBサイトとはこういうものだから」という技術者の言い訳を超えた、
「ページが切り替わるなら(うっとうしいと感じない範囲で)切り替わりのアニメーションをする、
ボタンを押したら切り替わる、
フリックしたら画面が指についてくる、
といったように、ユーザーにとってわかりやすい制作物を作るためにアニメーションは絶対に欠かせません!

何デアアイデアとかいう超有名ブログとか何モードジャパンとか国際的に凄いか知らないですが彼らが言うには、なんかどうもFlashはいらないらしいです。ですが僕には納得できません。

僕が納得できないことと言うのは、つまり僕が知らないいろいろな事を相手は知っているという事で、もの凄く勉強のチャンスを得たと喜んでいます。

是非ともお話をお伺い存じたく奉りござ候でございますが、まあどうでもいいので、もしアクセス欲しさに「Flashはもういらない?」とかタイトルを 書いたのであればちょっとでも恥ずかしいと思ってくれたらそれでいいわけです。

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