こんな経験はないですか?
清水の舞台から飛び降りるつもりで思い切って買ったデジタル一眼レフカメラ。
「これでおれもカッチョイイ写真撮りまくれるし!」と鼻息荒く意気込むも、出来上がるのはコレジャナイ感満載のなんだか気の抜けた写真ばかり。
気合い入れて同時に買った「一眼デジカメ撮影テクニック集」的な本を何度も読み返し、街角散歩から花、神社仏閣、動物園など観光地に繰り出すも、よくわからない写真ばかりが量産される始末。
「おかしい、こんなはずでは…ないし!」足りていない撮影テクニックのスキマを埋めるつもりで買いそろえたレンズの本数と比例して、カメラに被るホコリ。
唯一の自慢写真は、最初のほうにたまたま撮った、近所の野良猫のアクビ写真のみとか、ネットの記事を鵜呑みにして撮った、背景ボッケボケの意味わからんフィギュア写真。
「よく考えたら標準ズームレンズしか使ってなかったし、最近は持ち出すのもおっくう。重要なのは撮影機材じゃなくて撮影機会だし!」と自分に言い訳をすることで無理やり買い足した、コンパクトデジカメのほうばかり持ち歩くように。
しかしながら、撮影機会が増えたところで、撮影技術の本質的な変化があるわけではないので、結局のところつまらない写真の枚数が増えるだけであり、そのうちコンデジも持ち歩かなくなるようになる。
しばらくスマホでしか写真を撮らなくなったころに、デジタル一眼レフの新機種をみて、「おおっ!最近はこんな機能があるのか、これならおれもカッチョイイ写真撮りまくれるし!」と思い始めるようになり、居ても立ってもいられずついに新機種のデジタル一眼レフ購入。最初に戻り以下ループ。
なんだか撮りたいものもよくわからなくて、仕舞いには新しく買ったカメラで古いほうのカメラを撮影したりする始末wお㍗ルwww
そんな自分がそんなループから抜け出すためにやったことを書いていきたいと思います。つまりは自分向けの記事。公開ついでに、ひょっとしたら誰かの役にも立つかもしれないので晒してみるよろし。
いちおう先に言い訳しておくと、ガチ写真の話しではなくて、家族の写真とか撮ってる、おとうさんのお話しなんですよ。
最初に、写真を晒してみる
「で、実際にお前の写真てどんなのよ?」という声がまず聞こえてきそうなので、思い切って自分が撮影した写真を晒してみたいと思います。
これです↓
Masamune Utsunomiya / 500px
あっ、勘違いしないで下さいね。上のリンク先は、下手なときの写真じゃなくて、上手くなったほうの写真です。
「えっ、この程度で?」と言われるかもしれないですが、これでも上手くなったほうなんです。それくらい、前は写真が下手だったんですね。
「この程度の写真の奴が、上手くなる方法をこれから語るの?マジェ?」はいそうです。この程度の写真の奴の語りとか読みたくないという人のために、最初に自分のレベルを晒しました。このくらいの写真の奴の語りとか読むの一番痛いわいという人は、今の時点でブラウザをそっと閉じてもらうのが、お互いのためにいいかと思います。
「下手だ下手だって言うけど、500pxを晒してこういう記事を書くと言うことは、自分では上手いって思ってるんでしょ」っていう意見につきましても、はいそうです。実際ですね、本当に上手くなったんですよ。これでも。そのへんから、前はどんなに酷かったか、察していただければと思います。
「下手下手っていうけど、下手なほうの写真は晒さないじゃない。ずるいな〜」という意見についてはですね、私としてもせっかくこういう記事を書くので下手なときの写真も晒したいのです。下手な写真を晒して恥ずかしいという気持ちよりは、本当にどれだけ下手だったか見てもらったほうが記事に説得力が生まれるので、せっかく記事を書くので下手なほうも見てもらいたい気持ちのほうが強いです。なのに何故下手なほうは晒さないのかの理由については、長くなるわりにここで書くほどの事でもないので割愛させて下さい。あしからず。
では、実際にやったこと
冒頭に書いたような、写真下手くそな奴がおちいる負のスパイラルにうずもれていた私が、少しでも写真撮影が上手くなるためにやったこと。
それは。
それは、写真編集アプリ Adobe Photoshop Lightroomを使うこと!(バーン!)
えっ!?
えっ!????!?!??
- Q: “撮影”が上手くなるっていう話ししてたのに、編集アプリ言うてるやん!?バカにしてんの?
- A: してません。順番に説明します。
Lightroomを使うことによって、撮影後の編集や管理が圧倒的に効率よくなるので、結果的に撮影時に出来ることが増えるのです。
- Q: 他の編集ソフトや管理ソフトではだめなん?例えばApertureとかPhotoshopとかは?
- A: もともとiPhotoからAperture使ってた私がみるに、Lightroom以外ありえないです。Lightroomの機能がなければ、一生写真が楽しめませんでしたと言い切ってもいいくらい。
- Q: Adobeから何かもらってるの?ロコツなステマはよくないよ?
- A: ですよねー(ロコツなステマはよくない、に係る)。ロコツだとステマとは言わなさそうだし。少なくともステルスではない…。ちなみに、何ももらってません。Adobeさん、何ももらってません。カッチョイイシールとか欲しいそうです(なんかもらってるんちゃうん?というギワクの声に対して、こんなん欲しいヨーというお約束。もし本当にAdobeさん見てても、気にしないで下さいね)。
- Q: はい出た、「RAWで撮ったらいい厨」定期的に沸くよねこれ
- A: ほんとそうですよね…。自分も、もともとはRAW押しつけてくる人苦手だったんですが、最近は考えが変わりました。やっぱRAWいいです。ただし、RAWで撮るだけではダメで、それは自分がもともとAperture使ってたのもあって、それだけでは全然上達できませんでした。やはりLightroomがアプリとして写真の腕を底上げしているのは疑いようがないです。
気になる、実際の撮影スタイル
晒した500pxの垢で察した人も多いと思いますが、私は家族と出かけて子供を撮ることが多いです。
家族という、魅力的な被写体を好きなだけ撮りまくれるということに恵まれている反面、あまりにもあけすけに個人情報が写っているような写真の公開はできないですし、出先の景色なんかも家族を撮影している合間に撮るしか時間がないので、「じっくり腰を据えてシャッターチャンスを狙う」みたいな撮影スタイルはとりづらいです。
とくによく動く子供を確実に撮影できることを優先して、ほとんどを以下のようにして撮っています。
- レンズは標準ズームレンズ一本。レンズ交換とかしない。ときどき望遠レンズがもう一本どうしても欲しくなっても、そもそも子供を撮影するときにレンズ交換するヒマなんて自分にはないと言い聞かせてぐっとがまん。
そもそも、「あのレンズがあればもっといい写真が撮れるのに」というレンズ欲は100%妄想。1本のレンズで上手に撮れないうちは、何本レンズ増やそうが無駄。無駄になるだけならいいけど、下手なうちにレンズ増やしたら一生下手くそなままと自分に言い聞かせて、1本のレンズ、1台のカメラでやりくりをし、出来ることを増やしていく。- おかげで、ファインダーを覗くと同時に狙った画角にズームリングを回せるくらい、一本のレンズに慣れてきたという利点もあった。
- 設定でモタモタしたくない、できないので、ほとんどをISOオート、絞り優先、連写モードで撮る。
- 絞りは基本8.0あたり。少し絞りたくて11くらい。たまにカリッカリに22くらいまで絞ることもある。解放は出来るだけ使わず、空けても5.0くらいまでにとどめておく。理由は、光量の足り無さはISOオートで補うからと、背景ボケは、下手なうちはできるだけしないほうがいいから。少なくとも背景をぼかせて主被写体を浮き上がらせたいとかの理由で使うくらいなら、下手なうちは主被写体を浮き上がらせたいなら背景ボケよりは構図を勉強したほうがいいと思う。(※追記があります)
- 連射は必須。あとで紹介するLightroomのスタック機能を使うことで、連射写真の管理がすごくやりやすくなる。1000枚撮って100枚現像して、そのうち人に見せられるのが1枚、多くて10枚、という歩止まりの悪い自分の腕で、連写モードとLightroomのスタック管理は神。
- 撮影時には露出補正も行わない。RAW現像でほとんどカバーできるので。RAW現像で補正してもカバーできないほどの露出ずれは、撮影枚数を稼ぐことで補う。厳密なプロの撮影では通用しないだろうけど、家族撮影のおとうさんにはこれで充分すぎるほど。
- 露出を、現像のときの補正で行えるようになるので、あと撮影枚数も稼げるので、わりと露出の破綻を恐れないようになれる。そうすると積極的に光源をフレームに入れたり逆に影ばっかりの構図を作ってみたりと、いろいろ試せるようになっていい勉強にもなる。
- レンズの前玉に透明レンズフィルターをつけるかわりに、レンズキャップは付けない。電源入れっぱなしでレンズキャップを付けない状態でカバンに放り込み、必要なときにすぐ取り出すと同時に構えて撮れるようにしている。これも、歩止まりの悪い自分ならでは。
- さらに、カメラストラップも付けない。カバンからさっと取り出すときに邪魔だし、引っかかったりしてかえって落としそうになる。
ストラップをつけないほうが落とすのを心配する声もあるが、少なくとも自分は30年以上、カメラで遊んでいるが一度もカメラを落としたことがない。もちろん、今まで落としたことがないからといって明日落とさない保証は無いが、それでも30年に一度落とすくらいの確率なら、あきらめがつく。この底確率に保険をかけてストラップをつけるくらいなら、ストラップの無い機動性を選ぶ。 - 子供がカメラに向かってこけたとき、刺さりそうであぶないのでレンズフードも付けない。
- さらに、カメラストラップも付けない。カバンからさっと取り出すときに邪魔だし、引っかかったりしてかえって落としそうになる。
- つまり、レンズキャップも付けないストラップもない、電源入れっぱなしのカメラがカバンの中にごろっと入ってあり、ここぞというときにさっと取り出すと同時に、構えたときには狙った画角ですぐ撮れるような状態にしてある。
先にも書きましたが、1000枚撮って100枚現像してみて、人に見せられるのが1枚あるかないかくらい、そのくらい写真が下手な自分向けに、極端なくらい撮影枚数を稼ぐためにあみだした撮影方法です。下手な人間にとって、撮影枚数こそ味方になってくれます。
そもそも現像ソフトってどうなのよ
Lightroomなどの現像ソフトについて、「うまいな」と思ったのが、RAWからJPEGなどへの書き出しの行程を”現像”と言い換えることによって、フォトレタッチに抵抗のある人に向けても違和感なく、撮影後のレタッチを促せていることだと思います。
私はもともと、RAWの現像が面倒臭かったという理由もあるのですがそれ以上にフォトレタッチに対する罪悪感というものがあって、カメラで撮った画像はそのままJPEGにしていました。なんとなく、撮った後に手を加えたら、それは撮影技術じゃないと思い込んでいたんですね。
それが、RAWの現像を行うようになったのは最初はLightroomではなくApertureからだったのですが、RAWの現像はちょうど女性のお化粧と考え方が似ていると思います。
整形して素材そのものに手を加えるのではなく、素材にちょっとした化粧を施す。それが現像とよく似ていると思ったのです。
Lightroomの強力な写真整理機能
RAW現像が強力なだけでは、Apertureや本家Photoshopには勝てないかもしれません。
※Apertureは既に開発終了していますが
Lightroomがすごいのは、写真整理機能にあります(もちろん現像機能もすごいですが)。
実際、家族行事のたびにふえる写真を、整理するだけでも大変なのにいちいち現像していてはとてもじゃないけどやってられませんが、Lightroomにはそれを簡単に行える様々な機能があります。
レーティングやフラグ、カラーやタグ、クイックコレクションなど、これでもかと写真を整理するための印が用意されていて、多角的に管理したり一時的に管理したりも自由自在ですし、充実した比較モードでキメの一枚を選ぶのも簡単です。
なによりオススメしたいのが、スタック機能で、撮影時間を何秒ごととか設定しておけば、連射した写真を自動でグループ化することもできます。
この機能がなかったら、自分は連写モードで撮影することはなかったですし、自分の歩止まりの悪さでは人に見せられる写真なんて一生かかっても撮ることが出来なかったと思います。
それくらい、写真管理機能が撮影技術に与える影響は凄かったです。
言葉で書くと複雑そうですが、Lightroomの写真整理機能は本当にかゆいところまで手が行き届いているので、これまでも写真整理に一家言ある人はもちろん、写真整理ができない人にもぜひ実際に使ってみて体験してほしいです。
現像について
自分のような、半可通の生兵法を披露することほど、ネット上にある文章の中でもうざいと感じられる文章もないので、この章は最初は書くつもりがなかったんです。
ですが、RAW現像というとあれもできるこれもできる!っていう紹介記事ばっかりで、この程度すれば充分よというニュアンスの文章はあまり見つからなかったので、せっかくなので自分がRAW現像の時にやってることを書いておきたいと思います。
- Lightroomにある、Uprigtといって写真の水平垂直を自動で補正する機能は神。ほとんどの場合において使用します。理由は、素人が狙って水平垂直を傾けた構図で成功することは少ないので。それよりも水平と垂直がしっかり出ている構図の説得力の強さのほうが勝る場合のほうが多いです。
- 水平垂直を出したら、あとはトリミング。撮った写真が無限に変化して、一番楽しい時間。
- 家族写真などでは、基本的な露出補正を行ったあと、”自然な彩度”をちょっとだけ上げてフィニッシュとすることが多いです。
- 記念写真と比べて、もう少し絵作りにこだわりたい場合は、彩度やコントラストを少しだけ落として色を落ち着かせます。
- ヒストグラムが綺麗な山になることが適性露出の目安になりますが、思い切ってシャドウやハイライトを目立たせると、印象が変わるのでよく使います。
- このへんの光や影の使い方、色の使い方は外国の写真家さんに上手い人が多いので、Flickrや500pxなどにアップされた写真を参考にしてます。
- 撮影時にも書きましたが、光源や影を積極的に構図に取り込めるので、補正の段階でいろいろと写真の表情が変わって面白いです。
RAW現像であれもできる!これもできる!みたいなことはしないで、だいたいこんな感じで進めています。
参考にした書籍など
参考にした書籍を紹介したいと思います。それぞれ、アフィリID付きでリンクしていますが、宗教上の理由などでアフィリリンクを踏むことができない人のために、別でアフィリ無しのリンクも用意しました。
また、諸事情によりアマゾンで本を買うことが出来ない人のために、ISBNも併記しました。
Lightroom関連
Photoshop Lightroom 5 マスターブック for Windows & Mac
ISBN-10: 4839947775
ISBN-13: 978-4839947774
私は上の本で、Lightroomの操作のひととおりを覚えました。
Photoshop Lightroom 5 プロフェッショナルの教科書 思い通りの写真に仕上げる現像の技術
ISBN-10: 4844363638
ISBN-13: 978-4844363637
こんな風な写真にしたいときにはどういう操作をすればいいか、逆引き風に載ってあるので参考にしました。
撮影関連
Photographer’s Eyeビジュアルリファレンス : 図で理解する写真の構図とデザイン
ISBN-10: 486246257X
ISBN-13: 978-4862462572
私が持っているのはこの本のシリーズの違うほうなんですが、そっちは今現在値段が高騰しているので、価格が落ち着いてあるこちらのほうを貼っておきます。2015/3/31発売だそうです。
有名なシリーズ本ですが、もし知らない人がいましたら、超オススメです。実はこのシリーズ本をオススメしたくてこの記事を書いたといっても過言ではないくらい。ド本命のほうの価格高騰が残念。
世の中にデジカメが発明されてから飛躍的に伸びた、試行錯誤の写真の数。それらを分析して、いい写真とはどういうものなのかを様々な方向から解説してある本です。
一般的な撮影指南本が小手先のノウハウを伝授するのに対して、このシリーズでは何を考えどのように配置したらいいのか考えるためのキッカケを教えてくれます。
ナショナルジオグラフィック プロの撮り方 完全マスター
ISBN-10: 4863131623
ISBN-13: 978-4863131620
こちらは、もう少し実践的というか方法論が書かれてある本。
作例がいいので、他の小手先技伝授本よりは、内容もいいです。お金が余ってるなら、買って損はないと思います。
アフィリ抜きリンク
それぞれの本の、アフィリ抜きのリンクはこちら↓。
http://www.amazon.co.jp/dp/4839947775
http://www.amazon.co.jp/dp/4844363638
http://www.amazon.co.jp/dp/486246257X
http://www.amazon.co.jp/dp/4863131623
どれも良書なので、オススメです!
さいごに
自分の無知を晒して、中途半端な知識をえらそうに人に紹介するのはやはり恥ずかしいですが、このレベルの情報でももしかして役に立つ人おるんちゃうか?と思って書きました。
ネットでも本でも、写真関連で小手先の技を教えてくれる情報は多いんですが、それはそれでいいのですが、結局のところ自分のような下手くそは小手先の技ではどうにもならないくらい真性下手くそなので、構図をしっかり勉強して徹底的に枚数を稼ぐしかないわけです。
であれば、どうやってその枚数を稼ぐのか、その方法なんかが少しでも参考になればうれしいです。
自分で晒しといて下手くそ下手くそと、慇懃無礼もたいがいにしないと嫌みになる典型かもしれないですが、そのへんは本当に、判断が難しいです。そういうところからして、悩んだ上での公開なので、役立つ感じになればいいです。
具体的に、自分の写真のどこが下手くそだと思うかというと、雰囲気だけ小手先で上手く見せようと工夫してるだけで、被写体の面白さについては伝えようとしてる工夫が見られないところにあると思います。こればっかりは、自分の技術を磨いていくしかないですね。
今年も、たくさんの写真が撮れたらいいなと思います。
2016/12/29 追記
「ボケより構図」についての追記ですが、この記事をアップした当時よりは、この「ボケより構図」についての理解はだいぶ浸透してきたように感じます。
ちょっと前まではだいぶひどいものでした。
あたかも「背景ボケがいい写真」であるような意見が普通に飛び交っていたので、そうじゃなくて背景をぼかすくらいなら構図を勉強した方がいいという考えを文章で伝えたらいいのか、この記事を書いた後から2年近くも悩みました。
確かに、「背景をぼかして主被写体を浮き上がらせる」という表現方法は存在しますが、それは無数にある写真表現の中のただのひとつです。なのに、この背景ボケだけに異様にこだわりすぎる傾向があるなら、その背景ボケだけの手法を大事にする考え方を早く捨て去ることが、そのほかの無限にある写真表現を学ぶようになるきっかけになると考えています。
もちろん、誤解を恐れずに言えば背景ボケ写真は一眼カメラ(レフのあるなしを問わず、単眼か複眼かを問わず、ここではボケ味の出やすい大きめなセンサーサイズや焦点距離、解放f値を稼ぎやすいカメラを一般的に想像しやすい呼び名として一眼カメラと呼んでいます)のほうが撮りやすいものではあります。
しかしながら、「一眼で撮ったっぽい写真」は「一眼で撮ったっぽい写真」でしかなく、写真の良し悪しにはなんの影響もありません。
写真と違う例えをしますが、「新幹線で来たっぽい人」と「自転車で来たっぽい人」がいたとして、「どちらがいい人か」を談じるようなものです。
結局のところ、「せっかく高いカメラ買ったんだから、安いカメラでは撮れなさそうな写真を撮りたい」という気持ちを大事にしすぎているのが、「背景ボッケボケの写真」の量産を産んでいるのであって、それは個人の趣味なのだから誰も文句はないんだけど、自分がそこから脱却したいのであれば構図を学ぶほうがいい、という話をしたいのでした。
ではなぜ、「背景をぼかすより構図に目を向けたほうがいいのか」
背景をぼかす人は、おそらく主被写体を浮き上がらせるために絞りを開放に向けているんだと思いますが、確かに「背景をぼかして主被写体を浮き上がらせる」という表現方法はあるにはあります。最近では海外でも「BOKEH」という名前でこの背景ボケの概念が広まっていることも知っています。しかし、背景ボケで被写体を浮き上がらす表現は、先ほども書いたように、無限にある写真表現のひとつでしかないのです。
絞りは、よほど光量が足りなくなる時以外はできるだけ絞って(最近のデジタルカメラのセンサーは暗部の感度が高いので、光量が足りなくなることはよほどのことがない限りないでしょう。つまり絞りを開放にする機会は滅多にないと言えます)、主被写体を浮き上がらせたいなら(副被写体があるなら副被写体の扱いも)構図を工夫することが、背景ボケ連発の写真からの脱却の一歩になると考えています。
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